オフィスの給湯室でコバエが飛んでいたり、仕事中にゴキブリを見かけたりすると、気になりますよね。「掃除はしているはずなのに、どうして虫が出るんだろう?」と思うこともあるでしょう。
オフィスの害虫対策は、虫を駆除するだけでなく、発生しやすい場所を見つけて、餌や水分、隠れ場所を減らすことが基本です。
この記事では、虫が出やすい場所から社内でできる予防策、ビル管理会社との役割分担、専門業者に相談する目安まで、具体的に紹介します。
オフィスの虫はどこから来る?まず確認したい場所

オフィスで虫を見つけたら、まずは発生しやすい場所を確認してみましょう。
机の周りはきれいでも、給湯室の排水口やゴミ箱の底、普段動かさない荷物の裏側までは、なかなか目が届かないものです。
特に気をつけたいのは、次の4か所。それぞれ虫が発生する原因が違うため、対策も少しずつ変わります。
給湯室|食べかすや排水口の汚れが残りやすい
オフィスでゴキブリやコバエが気になるなら、最初に確認したいのが給湯室です。
シンクに残った飲み物、排水口の汚れ、電子レンジの周りに落ちた食べかす。どれも普段は見過ごしがちですが、虫にとって餌や発生源になることがあります。
また、給湯室で小さな虫が飛んでいる場合は、排水口の汚れから発生するチョウバエ類の可能性もあります。板橋区のチョウバエに関する解説でも、排水口や排水管に付着した汚れが発生源になると紹介されています。
まずは、シンクのゴミ受けや排水口を確認してみてください。食品くずを取り除き、汚れをためないようにするだけでも、発生原因を減らすことにつながります。
冷蔵庫の下やシンク下も、ついでに見ておきたい場所です。水漏れや配管周りの隙間が見つかったら、ビル管理会社や設備担当者に相談しましょう。
排水口の仕組みや掃除方法は、排水口からの虫の発生・侵入を防ぐ対策でも紹介しています。
ゴミ箱・ゴミ置き場|飲み残しや食品ゴミに注意
お昼に食べたお弁当の容器や、飲み終わったペットボトル。そのままゴミ箱に入れていませんか?
容器に食べ物や飲み物が残っていると、ゴキブリなどが利用できる餌や水分を残すことになります。特に、回収まで時間が空くゴミ箱や、清掃が行き届かないゴミ置き場は注意したい場所です。
食品ゴミは蓋付きの容器に入れ、決められたタイミングで回収しましょう。ペットボトルや空き缶も中身を残さず、ビルの分別ルールに沿って処分します。
意外と見落としやすいのが、ゴミ箱そのものの汚れです。袋を交換するときに底や周囲も確認しておくと、飲み物の液だれなどに気づきやすくなります。
共用のゴミ置き場で虫を繰り返し見かける場合は、自社だけで対応しようとせず、ビル管理会社にも状況を伝えてください。
観葉植物|水のやりすぎが小さな虫の原因に
オフィスの雰囲気を明るくしてくれる観葉植物ですが、実は虫が発生するきっかけになることもあります。
例えば、鉢の周りを小さな黒っぽい虫が飛んでいる場合。土の中で発生するキノコバエ類が関係しているかもしれません。
ミネソタ大学の室内植物に関する資料でも、水のやりすぎや水はけの悪さがキノコバエ類の発生につながると説明されています。
「虫が出るなら植物を全部撤去しよう」と考える必要はありません。まずは鉢の土が常に湿っていないか、受け皿に水がたまっていないかを確認しましょう。
植物によって適切な水やりの頻度は違います。管理担当者を決め、土の状態を見ながら水を与えるだけでも、過湿を防ぎやすくなります。
ただし、観葉植物の周りを飛ぶ虫が、必ずキノコバエとは限りません。発生が続く場合は、写真を撮って種類を確認することも考えましょう。
段ボール・書庫|普段動かさない荷物も確認
コピー用紙の空き箱や、通販で届いた備品の段ボール。「そのうち片づけよう」と思いながら、倉庫の隅に積み重なっていることはないでしょうか。
荷物の隙間や棚の奥は、普段の掃除では手が届きにくい場所です。虫が隠れていても気づきにくく、段ボールなどの荷物に紛れて虫が持ち込まれる場合もあります。
東京都のビル衛生管理に関するQ&Aでも、荷物や観葉植物に虫や卵が付着して、建物内へ持ち込まれる可能性が紹介されています。
届いた荷物は開封時に異常がないか確認し、不要になった段ボールは早めに処分しましょう。
書類や備品を長期保管する場合も、床や壁際が見えるように整理しておくと点検しやすくなります。大がかりな片づけを一度にするより、不要な箱をためない習慣をつくる方が続けやすいでしょう。
社員みんなでできる、無理のない害虫予防ルール

オフィスの害虫対策は、特別な道具がなければできないわけではありません。普段の飲食やゴミ出し、片づけ方を少し見直すところから始められます。
ただし、総務担当者だけが頑張っても、すべての場所に目を配るのは難しいもの。社員が自然に協力できるルールにしておくと、日々の管理が楽になります。
食べ物は「食べ終わった後」までルールを決める
デスクに置いた食べかけのお菓子や、会議室に残されたコーヒーカップ。小さなことですが、こうした飲食物の放置を減らすことが、オフィスのゴキブリ対策にもつながります。
また、食品に発生する虫はゴキブリだけではありません。横浜市衛生研究所の資料では、ビスケットやチョコレート、乾燥食品などを食害するシバンムシ類について紹介されています。
社内で決めておくなら、次のようなシンプルなルールがおすすめです。
- 開封したお菓子は密閉容器にしまう
- 飲み残しや食べかすはその日のうちに片づける
- 共有冷蔵庫の食品には名前や期限を分かるようにする
- 会議室や休憩スペースも使った人が確認する
特に共有冷蔵庫は、誰のものか分からない食品が残りがちです。定期的に整理する日を決め、事前に周知しておくと管理しやすくなります。
掃除とゴミ出しは、担当とタイミングを決める
「気づいた人が片づける」というルールは、一見すると手軽です。でも、忙しいときほど後回しになりやすいですよね。
そこで、掃除する場所とタイミングをあらかじめ決めておきましょう。例えば、次のような分け方なら日常業務にも取り入れやすくなります。
| タイミング | 確認すること |
|---|---|
| 毎日の終業時 | 飲み残し・食品ゴミ・給湯室の汚れ |
| 週ごとの点検 | ゴミ箱の底・観葉植物・棚の周囲 |
| 定期的な整理日 | 不要な段ボール・書庫・保管備品 |
これはあくまで社内ルールの一例です。清掃業者が入っている場合は、契約に含まれる範囲も確認して、作業が重複したり、逆に担当のいない場所ができたりしないようにしましょう。
虫を見つけたときの報告先も決めておく
「昨日も給湯室に虫がいたらしい」と後から聞いても、どこに何匹いたのか分からなければ、原因を調べるのは難しくなります。
虫を見つけた人が、総務担当者などへ簡単に報告できる仕組みをつくっておくと便利です。
- いつ、どこで見つけたか
- 何匹くらいいたか
- どんな虫だったか(写真があれば添付)
- 以前にも同じ場所で見かけたか
社内チャットや共有の管理表など、普段使っているもので十分です。発見情報がまとまっていれば、ビル管理会社や駆除業者に相談するときも状況を説明しやすくなります。
なお、社員がそれぞれ判断して殺虫剤を使うと、使用場所や製品の管理が難しくなります。共用の職場では、薬剤を使用する前に管理担当者へ相談する運用がよいでしょう。
ビル管理会社と自社、害虫対策はどこまで担当する?
賃貸オフィスで虫が出たとき、「これは自分たちで対応するの? それとも管理会社に連絡するべき?」と迷うこともあるでしょう。
考えるときの目安になるのが、虫を見つけた場所と、原因を調べるために必要な作業です。ただし、実際の担当範囲や費用負担は契約内容によって変わります。
日常の片づけは自社、共用設備は管理会社に相談
例えば、デスクの食べかすや自社の給湯室の清掃は、まず社内で改善できる部分です。
一方、共用のゴミ置き場や廊下、排水設備などで虫が発生している場合は、ビル管理会社への相談が必要になることがあります。
| 虫を見つけた場所・状況 | まず確認する相手 |
|---|---|
| 自社のデスク・給湯室 | 社内の総務・清掃担当 |
| 共用ゴミ置き場・廊下 | ビル管理会社 |
| 配管・排水設備の不具合 | ビル管理会社・設備担当 |
| 自社の部屋で何度も発生 | 社内担当とビル管理会社 |
ここで気をつけたいのは、虫を見つけた場所と発生源が同じとは限らないことです。
自社の給湯室でゴキブリを見かけても、共用部分の設備や隣接する区画などが関係している可能性もあります。清掃しても繰り返し出る場合は、発見場所を伝え、建物側で調査できる範囲を相談しましょう。
また、誰が駆除業者を手配するのか、費用をどちらが負担するのかは一律には決まりません。業者を呼ぶ前に、賃貸借契約や管理規約、既存の防除契約を確認しておくと安心です。
オフィスの害虫調査には法律上のルールもある
ここまで日常的な掃除や片づけについて紹介しましたが、オフィスの害虫対策には法令で定められた管理もあります。
例えば、労働者が主に事務作業を行う事務所に適用される事務所衛生基準規則の第15条では、事業者に対し、ねずみや昆虫などの発生場所・侵入経路・被害状況を6か月以内ごとに1回調査し、その結果に応じて必要な予防措置を講じることが定められています。
さらに、一定の規模を満たす「特定建築物」では、建築物衛生法に基づく管理も必要です。食品を扱う区域や排水槽、廃棄物保管設備の周辺などは、厚生労働省の技術上の基準で、2か月以内ごとに1回の生息状況調査が定められています。
ただし、ここでいう「調査」は「毎回殺虫剤をまく」という意味ではありません。虫がいるか、侵入口がないかなどを確認し、結果に合わせて必要な対策を選ぶものです。
また、特定建築物ではテナント専有部も建物全体の衛生管理に含まれます。詳しい考え方は東京都のビル衛生管理に関するQ&Aでも説明されています。
自社のオフィスがどのような管理の対象になっているか分からない場合は、ビル管理会社へ定期調査の実施状況や担当範囲を確認してみましょう。
オフィスの害虫駆除、業者に頼んだ方がいいのはどんなとき?
オフィスで虫を1匹見つけたからといって、すぐに専門業者へ駆除を依頼しなければならないわけではありません。
例えば、窓から入り込んだ虫なら、一時的な侵入の可能性もあります。まずは種類や発見場所を確認し、食品の管理や清掃など、身近なところから見直してみましょう。
ただし、自分たちで掃除しても虫が出続ける場合は、発生源が別の場所にあるかもしれません。
こんな状況なら専門業者への相談を検討
次のような状況が続く場合は、専門業者による調査を考えてみましょう。
- 同じ給湯室やゴミ置き場で何度も虫を見かける
- 複数の部屋やフロアで発生している
- 掃除や食品管理を見直しても改善しない
- ゴキブリの幼虫や卵鞘などが見つかっている
- 排水設備や床下など、自社では調べにくい場所が疑わしい
- 虫の種類や発生源が分からない
特にゴキブリの場合、見えている虫だけを処理しても、隠れている場所や侵入口がそのままでは再び見かける可能性があります。
種類によっても対策が異なるため、チャバネゴキブリの特徴と駆除方法などを参考にしながら、現場に合った対応を考えてみてください。
見積もりは料金だけでなく、調査内容も確認しよう
専門業者に相談するときは、駆除にいくらかかるのかが気になるところですよね。
もちろん費用も確認したい項目ですが、それと同じくらい、何をどこまで調べてくれるのかを聞いておきたいところです。
見積もりでは、次の点をチェックしてみましょう。
- 現地調査で虫の種類や発生源を確認するか
- 駆除する場所と作業範囲が明確か
- 薬剤を使う場合、使用場所や注意点の説明があるか
- 侵入口や再発防止について提案があるか
- 追加費用や再点検の条件が分かりやすいか
害虫対策は、薬剤だけに頼るものではありません。発生状況を調べ、清掃や侵入防止などを組み合わせる方法は、大阪府の総合的有害生物管理(IPM)の解説でも紹介されています。
オフィスでは従業員が日常的に仕事をしているため、作業する時間帯や薬剤使用後の注意事項なども事前に確認しましょう。
業者によって提案内容が異なる場合は、害虫駆除の相見積もりで確認したいポイントも参考になります。
まとめ|オフィスの害虫対策は、できることから少しずつ
オフィスの害虫対策というと、専門業者による駆除を思い浮かべるかもしれません。でも、普段の食品管理や掃除、荷物の整理など、社内でできることもたくさんあります。
まずは給湯室、ゴミ置き場、観葉植物、段ボールの保管場所を確認してみましょう。小さな問題を見つけた段階で対処できれば、発生原因を減らしやすくなります。
それでも虫が繰り返し出る場合は、ビル管理会社と相談し、必要に応じて専門業者の調査を検討してください。
特定の担当者だけが頑張るのではなく、社員みんなが無理なく続けられるルールにすること。それが、虫を寄せつけにくいオフィスづくりの第一歩です。
参考文献・出典
- 厚生労働省「事務所衛生基準規則」:事務所における清掃、昆虫等の定期調査と必要な予防措置。原文
- 厚生労働省「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」:特定建築物の発生しやすい箇所の調査と防除措置。原文
- 東京都健康安全研究センター「Q&A 清掃・ねずみ等防除について」:害虫の持ち込み、点検、専有部の扱い。資料ページ
- 東京都健康安全研究センター「Q&A その他」:特定建築物におけるテナント専有部の管理。資料ページ
- 板橋区「すまいの虫図鑑・チョウバエ」:排水口の汚れや封水切れと虫の発生。資料ページ
- ミネソタ大学エクステンション「Managing insects on indoor plants」:過湿な土壌とキノコバエ類の関係。資料ページ
- 横浜市衛生研究所「食品の管理は大丈夫ですか?(その2 シバンムシ類)」:菓子や乾燥食品に発生する害虫と食品保管。資料ページ
- 大阪府「総合的有害生物管理について」:IPMによる調査・予防・防除の考え方。資料ページ
