虫を見つけたとき、「アースジェットをかけたのに動いている」「何度退治してもまた出てくる」と困ることがあります。
ただし、効かなかった原因が薬剤の弱さとは限りません。
そもそもアースジェットの対象ではない虫に使っている場合もあれば、対象害虫でも空間に噴射しただけで、虫の体に十分かかっていない場合もあります。
目の前の1匹は退治できても、巣や卵、発生源が残っているケースもあります。
通常タイプのアースジェットが対象としているのは、ハエ成虫、蚊成虫、ゴキブリ、ノミ、トコジラミ、イエダニ、マダニです。ハエと蚊には室内噴射または直接噴射、そのほかの5種類には直接噴射します。(出典:アース製薬「アースジェット 450mL」)
ここでは、アースジェットを使える虫と対象外の虫を整理したうえで、くん煙剤、毒餌、凍結タイプ、粉剤などをどの場面で選ぶべきか解説します。
まず確認|アースジェットを使える虫・対象外の虫
「対象外」は、噴射しても成分がまったく作用しないという意味ではありません。製品表示に駆除対象として記載されておらず、適切な噴射量や使用方法が示されていないという意味です。
対象外の虫には、虫の種類に合う専用品を選んでください。
| 虫 | アースジェット | 使う場合 | 繰り返し出る場合の対策 |
|---|---|---|---|
| ハエ成虫 | 対象 | 室内噴射または直接噴射 | 生ゴミや排水口などの発生源を清掃 |
| 蚊成虫 | 対象 | 室内噴射または直接噴射 | ワンプッシュ剤、網戸、水たまり対策 |
| ゴキブリ | 対象 | 虫へ直接噴射 | 毒餌、待ち伏せ剤、くん煙剤 |
| ノミ | 対象 | 虫へ直接噴射 | 掃除、洗濯、ノミ用室内剤、ペットは動物病院へ |
| トコジラミ | 対象・注意 | 虫へ直接噴射 | 専用残効剤、熱処理、駆除業者 |
| イエダニ | 対象 | 虫へ直接噴射 | イエダニ用剤とネズミなどの発生源対策 |
| マダニ | 対象 | 虫へ直接噴射 | 屋外対策。吸血中は医療機関へ |
| コバエ | 対象外 | 使用しない | コバエ用剤、捕獲器、発生源処理 |
| アリ | 対象外 | 使用しない | 毒餌、アリ用スプレー、粉剤 |
| ハチ・アブ | 対象外 | 使用しない | ハチ・アブ用の長距離ジェット |
| ムカデ・ゲジゲジ・ヤスデ | 対象外 | 使用しない | 専用スプレー、凍結剤、毒餌、粉剤 |
| クモ | 対象外 | 使用しない | クモ用スプレー、凍結剤、侵入防止剤 |
| カメムシ | 対象外 | 使用しない | カメムシ用スプレー、凍結剤 |
| シロアリ | 対象外 | 使用しない | シロアリ専用剤、専門業者 |
| 室内に入ったケムシ | 対象外 | 使用しない | ケムシを対象に含む直接噴射剤 |
| 庭木についた害虫 | 対象外 | 使用しない | 植物と害虫に適用のある園芸用殺虫剤 |
なお、表の右端は「アースジェットより強い製品」を示すものではありません。直接噴射剤は目の前の虫を処理する道具で、毒餌や粉剤、くん煙剤は別の役割を持ちます。
たとえば、ゴキブリ1匹をすぐに止めるなら直接噴射、数日おきに見かけるなら毒餌や潜伏場所の処理が必要です。虫の種類だけでなく、発生が一度きりか、繰り返しているかも確認しましょう。
表で「対象」になっていても、ゴキブリ、ノミ、トコジラミ、イエダニ、マダニは部屋へ軽く噴射する使い方ではありません。虫の体に直接かける必要があります。
かけても効かないときは、薬剤より先に状況を見直す

虫の体に十分かかっていない
ゴキブリが家具の裏へ逃げた後に、部屋の中央へ噴射しても十分な量は届きません。ノミやダニ類についても、通常のアースジェットは虫への直接噴射が前提です。
少し霧が触れただけで必ず動きが止まるわけではありませんが、だからといって大量噴射するのも危険です。製品に記載された距離と使用量を守り、虫を狙って使います。
目の前の虫だけを退治している
直接噴射剤は、その場にいる虫をすぐに処理したいときに便利です。一方、壁の中の巣、家具の隙間に残る個体、卵、幼虫の発生場所までは解決できません。
アリの行列にスプレーをかけても、巣の中の女王アリや幼虫が残れば再び現れます。コバエも、生ゴミ、排水口、腐敗した植物質などの発生源を処理しない限り、成虫だけを退治しても発生が続きます。
「今いる1匹を倒したい」のか、「何度も出る状態を止めたい」のかを分けて考える必要があります。
トコジラミは対象でも効きにくい個体がいる
トコジラミはアースジェットの対象害虫ですが、国内ではピレスロイド系殺虫剤に強い抵抗性を持つ個体が確認されています。そのため、対象製品を直接噴射しても十分な効果が出ない場合があります。
トコジラミは刺し跡だけでは特定できません。ベッドや家具の隙間に黒い血糞、抜け殻、虫体がないかも確認します。
被害が複数の部屋に広がっている場合や、処理後も繰り返し見つかる場合は、熱処理や抵抗性個体に対応した製品を組み合わせ、難しければ駆除業者へ相談してください。(出典:国立健康危機管理研究機構「トコジラミの最近の傾向と防除に関して」・大阪市東成区「トコジラミでお困りの方へ」)
虫の出方で変わる|殺虫剤の選び分け
「虫の名前」だけでなく、「今見えている1匹を倒したいのか」「家の中で発生を繰り返しているのか」まで確認すると、必要な剤型を選びやすくなります。
同じ虫でも、直接噴射だけで足りる場面と、発生源や侵入経路まで対処しなければならない場面があります。
目の前の1匹をすぐ止めるなら直接噴射剤
ハエ、蚊、ゴキブリなど、姿が見えていて、すぐに動きを止めたい場面では直接噴射剤が向いています。
ただし、商品名の印象だけで選ばず、製品表示の「対象害虫」に虫の名前があるかを確認してください。ハチ、ムカデ、カメムシなどには、噴射距離や薬量が虫に合わせて設計された専用品を使います。
殺虫成分を残したくない場所では凍結タイプ
凍結タイプは、低温で虫の動きを止める直接噴射剤です。
虫コロリアース凍らすジェットは、ムカデ、ケムシ、クモ、ガ、カメムシ、ゲジゲジ、ヤスデ、ダンゴムシ、ワラジムシ、クロアリ、シロアリを対象としています。(出典:アース製薬「虫コロリアース 凍らすジェット 300mL」)
見えている虫の処理には使えますが、巣や卵、侵入経路に効果を残すものではありません。
シロアリを対象に含む製品であっても、建物内部の巣や木材の被害まで解決できるわけではないため、羽アリや蟻道を見つけた場合は専門業者による調査が必要です。
殺虫成分不使用でも、人やペットへ向けて噴射してはいけません。凍傷のおそれがあるほか、食品、食器、飼料、植物にも直接かけないようにします。
同じ場所で繰り返し見るなら毒餌
毒餌は、その場で虫をノックダウンさせる製品ではありません。虫に食べさせ、巣や潜伏場所へ戻る習性を利用して駆除します。
ゴキブリにはゴキブリ用、アリにはアリ用、ムカデにはムカデを対象に含む毒餌を選びます。
毒餌の近くへ殺虫スプレーをかけると、虫が寄りつきにくくなることがあります。ブラックキャップでも、本体や周辺にスプレーなどをかけないよう案内されています。(出典:アース製薬「ブラックキャップ 12個入」)
アリ用毒餌を置いても素通りされる場合は、設置場所、餌の状態、アリの食性が合っていない可能性があります。
関連記事:アリの巣コロリが効かないアリはいる?素通り・途中から食べない理由と対処法
部屋の複数箇所に潜んでいるなら、くん煙剤・全量噴射剤
ゴキブリ、ノミ、ダニ類などが部屋の複数箇所に潜んでいる場合は、薬剤を室内へ広げるくん煙剤や全量噴射剤が選択肢になります。
たとえばアースレッドWは、ゴキブリ、屋内塵性ダニ類、イエダニ、ノミ、トコジラミ、ハエ成虫、蚊成虫が対象です。製品ごとに対象害虫と使用できる部屋の広さが異なるため、表示を確認して選びます。(出典:アース製薬「アースレッドW」)
ただし、トコジラミにくん煙剤を使うと、薬剤を嫌がって別の部屋へ移動する場合があります。トコジラミ対策では、くん煙剤だけで済ませず、潜伏場所への処理や熱処理を組み合わせてください。
関連記事:バルサン後に死骸が出ない理由は?正しい使い方で効果アップ
家の外から何度も入る虫には粉剤・残効スプレー
ムカデ、ヤスデ、アリ、クモなどが玄関や窓から繰り返し入ってくる場合は、室内で退治し続けるより、侵入経路を守るほうが効率的です。
基礎まわり、玄関、窓のサッシ、配管の貫通部など、製品表示で使用が認められている場所へ粉剤や残効スプレーを使用します。
雨水ます、植物、ペットが歩く場所へ使用できるかも確認してください。
関連記事:ムカデ対策完全ガイド
ハチには、通常のアースジェットを使わない
ハチやアブは通常のアースジェットの対象外です。近距離から追いかけて噴射すると、駆除できる前に反撃される危険があります。
使用する場合は、ハチ・アブを対象に含み、離れた場所から噴射できる専用品を選びます。ただし、飛んでいるハチに使える製品でも、スズメバチの巣の駆除には使えないことがあります。
スズメバチの巣に対応する製品にも、オオスズメバチは対象外、巣の大きさに上限があるなどの条件があります。
巣全体が見えない、高所・屋根裏・地中にある、ハチの種類が分からない場合は、自分で処理せず専門業者へ相談してください。(出典:アース製薬「ハチアブマグナムジェット」・「スズメバチマグナムジェットプロ」)
関連記事:スズメバチにキンチョールは効かない?その理由と安全な撃退法
ノミ・イエダニ・マダニは、虫だけでなく発生源を見る
ノミが繰り返し出る場合は、室内への直接噴射だけでなく、床や家具の隙間の掃除、寝具類の洗濯も行います。
犬や猫に付着したノミ・マダニへ家庭用殺虫剤を直接かけてはいけません。ペットには動物病院や動物用として認められた製品で対処します。
イエダニは、ネズミや鳥の巣などが関係している場合があります。室内のダニだけを処理しても、発生源が残れば再発するため、天井裏や床下の物音、ふん、巣材なども確認してください。
マダニが人の皮膚に食い込んでいる場合は、アースジェットを人体へ噴射したり、無理に引き抜いたりしないでください。一部が皮膚内に残るおそれがあるため、皮膚科などの医療機関で除去してもらいます。(出典:厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A」)
虫の名前が分からないときは、場所と出方で絞る
虫を特定できないまま、広範囲へ大量に噴射するのは避けましょう。まず、次の点を確認します。
- 飛んでいるか、床や壁を歩いているか
- 1匹だけか、同じ場所で繰り返し見るか
- キッチン、寝室、排水口、観葉植物、屋外のどこで見つけたか
- 刺す、吸血する、毒針を持つ可能性があるか
- 手元の製品表示に虫の名前があるか
見えている1匹には対象害虫に合う直接噴射剤、同じ虫が繰り返し出る場合は毒餌や発生源対策、屋外からの侵入には粉剤や残効剤というように、発生状況から選ぶと失敗を減らせます。
ハチ、シロアリ、トコジラミなどは、誤った処理によって刺傷事故や被害の拡大につながります。種類や発生範囲が分からない場合は、無理に薬剤を使わず専門業者へ相談してください。
アースジェットを使う前に確認したいこと
アースジェットは、定められた使用方法と使用量を守って使用します。人体へ向けない、噴射気体を吸い込まない、40秒以上連続噴射しないことが必要です。
飲食物、食器、子どものおもちゃ、観賞魚、小鳥などのペット、飼料、植物、衣類、寝具へかからないようにし、噴射後は十分に換気してください。
家具、床、カーテンなどは変色やシミが残る場合があるため、虫がいる場所でも素材へ直接かけないよう注意します。(出典:アース製薬「アースジェット 450mL」)
アースジェットにこだわらず、虫と目的に合う剤型を選ぶ
アースジェットが対象としているのは、ハエ成虫、蚊成虫、ゴキブリ、ノミ、トコジラミ、イエダニ、マダニです。ただし、ハエと蚊以外には直接噴射する必要があります。
アリ、コバエ、ハチ、ムカデ、クモ、カメムシ、シロアリなどは対象外です。「強いスプレーなら何にでも効く」と考えず、製品表示に虫の名前があるかを確認してください。
目の前の1匹には直接噴射剤や凍結タイプ、巣や潜伏場所には毒餌、部屋の広い範囲にはくん煙剤、屋外からの侵入には粉剤・残効スプレーが向いています。
効くかどうかは、殺虫剤の強さだけでなく、虫の種類、発生場所、駆除したい範囲に合っているかで決まります。
