ダニというと、梅雨から真夏に増えるイメージが強いかもしれません。実際、家の中にいるダニの個体数が増えやすいのは夏です。
ただし、夏が終わったからといってダニ対策まで終わりにするのは早めです。秋は、夏の間に増えたダニが残した死骸やフンなどのアレルゲンを減らすのに重要な時期だからです。
大阪府茨木保健所によると、一般にダニの数が最も多くなるのは6〜8月。一方、室内のホコリに含まれるダニアレルゲン量は、ダニ数のピークから約2か月遅れた8〜10月に最も多くなります。
この時間差を考えると、夏と秋では対策の目的を分けたほうが分かりやすいでしょう。6〜8月はダニを増やしにくい環境をつくり、9〜10月は寝具や床に残ったアレルゲンを取り除く。秋は「駆除の続き」というより、夏の汚れを回収する時期と考えるのが実態に近いです。
ダニが減っても、死骸やフンはそのまま残る
秋にダニ対策が必要なのは、生きているダニだけが問題になるわけではないためです。
東京都健康安全研究センターは、ダニが梅雨時から夏にかけて繁殖し、秋になると死骸・抜け殻・フンが室内に多く蓄積すると説明しています。これらはアレルギー症状の原因になることがあります。
出典:東京都健康安全研究センター「秋はダニアレルギーに注意」
夏に多かったダニが気温や湿度の変化で減っても、それまでに出たフンや死骸が勝手に室外へなくなるわけではありません。布団やマットレス、カーペット、畳などに入り込んだまま残れば、秋になってもアレルゲンとして室内に存在します。
住宅を対象にした研究でも、ダニ由来の抗原量には季節差がみられ、夏から秋に高くなる傾向が報告されています。また、日本アレルギー学会誌に掲載された研究では、空気中の主要ダニアレルゲンが夏から秋に増加し、冬に減少する季節変動が確認されています。
参考:J-STAGE「日本における空気中ダニアレルゲン測定法としてのシャーレ法の評価」
「夏を過ぎたから大丈夫」と判断するより、秋は残っているものを減らす時期と考えたほうがよいでしょう。
9〜10月に優先したいのは寝具とホコリがたまる場所

秋に掃除するなら、家中を一度に徹底する必要はありません。ダニ由来のアレルゲンがたまりやすく、長時間触れる場所から手を付けます。
優先したいのは、次のような場所です。
- 布団・マットレス
- シーツ・枕カバー・布団カバー
- カーペット・ラグ
- 畳
- 布製ソファ
- ベッドや家具の下
東京都健康安全研究センターが家庭内を調査した資料では、ダニアレルゲン量はフローリングより畳やカーペットで多く、調査した場所のなかでは寝具が高い値を示しています。
寝具は毎日長時間使ううえ、湿気や皮脂、フケなどが集まりやすい場所です。まず洗えるシーツやカバーを洗い、布団やマットレスは素材と取扱表示を確認して十分に乾燥させます。その後に掃除機をかければ、表面に残った死骸やフン、ホコリの除去につながります。
環境再生保全機構は、寝具について週1回を目安に、1㎡あたり20秒以上かけて両面へ掃除機をかける方法を紹介しています。長く収納していた毛布や布団についても、使用前に洗濯するか、乾燥させたあとに掃除機をかけることが勧められています。
出典:環境再生保全機構「寝具はどのようにしたらよいのでしょうか?」
マットレスは丸洗いできない製品が多いため、ダニ対策の手順はこちらの記事でも詳しく解説しています。
秋の掃除は「洗う・乾かす・吸う」の順で考える
秋のダニ対策では、殺虫剤を追加することより、すでに室内にあるアレルゲンを減らす作業が中心になります。洗えるシーツやカバーは洗濯し、布団やマットレスは取扱表示に従って乾燥させ、その後に掃除機で表面のホコリを吸い取ります。
掃除機を先にかけるだけでは、繊維の奥に残った汚れまで十分に処理できるとは限りません。反対に、乾燥だけして終えると、死んだダニやフンがそのまま残ります。寝具の状態に合わせて「洗えるものは洗う」「乾かせるものは乾かす」「最後に吸い取る」と工程を分けると、秋に行うべき対策が整理しやすくなります。
床も同じで、いきなり強く掃除機を動かすより、目につくホコリを取りながら丁寧に清掃します。とくにベッド下や家具の隙間は普段の掃除で後回しになりやすいため、9〜10月の見直し時に一緒に掃除しておくとよいでしょう。
掃除だけでなく、湿気をためない状態もつくる
アレルゲンを取り除いたあとも、室内の湿度管理は続けたいところです。
アレルギーポータルでは、ダニが増殖する条件として湿度60%以上、温度およそ25〜30℃を挙げています。秋でも室温が高い日が続いたり、寝具に湿気がこもったりすれば、ダニが生息しやすい環境が残ることがあります。
晴れた日の換気、寝具の乾燥、除湿機やエアコンの除湿運転などを使い、湿気をため込まないことが大切です。冬も暖房によって室温が保たれる住宅ではダニが発生することがあるため、「寒くなれば何もしなくていい」とは考えないほうがよいでしょう。
9〜10月は、夏に増えたダニの後始末をする
ダニ対策は、年間を通して同じことを続けるより、季節ごとに目的を変えると取り組みやすくなります。
6〜8月はダニの個体数が増えやすい時期なので、湿度を抑え、寝具を乾燥させて繁殖しにくい環境をつくることが中心です。その約2か月後にあたる8〜10月は、死骸やフンなどに由来するダニアレルゲン量が多くなるため、除去を意識した掃除の比重を上げます。
とくに9〜10月は、布団やマットレス、カーペット、畳などを一度見直しておくとよい時期です。**夏は増やさない、秋は残さない。**この2段階で考えれば、何をすればよいのか迷いにくくなります。
なお、掃除や湿度管理を続けても刺される、特定の部屋で被害を繰り返す、大量発生しているといった場合は、チリダニ以外の種類や別の発生源が関係している可能性もあります。原因が分からない状態で薬剤を繰り返すより、発生場所やダニの種類を確認することが先です。
自力での対策が難しい場合は、専門業者に調査を依頼する方法もあります。
